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2008年1月16日 (水)

凹み?かすれ?

Dsc07358

からふね屋さんのブログ、印刷見聞録に昨年末、「凹んでいるのが活版印刷!?」という記事が掲載されていました。この事については、自分ではどこかで書いたとばっかり思ってましたら、どうやら書いてないので今回に。

この題名通り「凹んでるのが活版印刷」と思っている方も多いのでは??

凹んでいるのが活版印刷の一番の特徴ではありません。凹みは押して印刷するため、出来てしまう副産物。本来タブーではありますが、私も凹みが欲しいときがあり、そういった効果を狙うときもあります。活版印刷は凹みを作るための印刷ではなく、ただ凹みが欲しい場合は「箔押し」があります。

現在プロとして長年携わってらっしゃる職人さんは、凹みがなく・ムラなく、はっきりとした印刷が美しいと叩き込まれています。これは実際にやってみるといかに難しいことなのか解ります。紙は性質によっては押して印刷されるのですから、凹みができることもある。そして弱くすればかすれなどのムラができる。それを一つ一つ、後ろで紙を貼ったりなどの細かな調整と丁度良い印圧を探し、時間をかけて印刷されるのです。だから凹みやカスレを注文され、心の葛藤と戦いながら印刷を受けている方が多いのです。今までは一番適する紙として、多くの方が「上質紙」や「アート紙」という一般的な紙のみを使っていた印刷所も少なくありません。それが一気に色々な紙が舞い込むようになったので、混乱していることもあり、職人さんたちも新たな取り組みをしている状態なのではないでしょうか。

単にそういう規則だったわけでなく、もちろんいくつか理由があります。活字は直鋳造でもなければ解版してまた使います。活字の硬質はそんなに固くなく、組んでる途中にピンセットを表面にひっかけたり、落としたりすればキズがつくのです。なので印圧の強さに耐えれる限度があります。

「だったら版が固ければ良いのですか?また版が潰れてもこちらが責任持てればいいのですか?」と質問されたことがあります。残念ながら版だけの問題でなく、印刷機の方の部品も傷ませることとなります。これは日本も海外も同じで、私も海外の印刷物が凹みが多く感じ、「日本と違うのかな?」と思ったことがありましたが、それは木版のように大きな版をしっかりと印刷するためには、それだけ力を加えなければならないため、結果凹みが出るくらい力が必要というだけでした。

ちなみに私もドイツで小さな文字のとき、大きな活字と同じくらいの圧強めで印刷していたら、そりゃぁこっぴどく怒られました。「印刷機も活字も壊す気か〜〜!!わかってるのか〜!!」と。

他、両面印刷で反対側がデコボコしていたら読みづらいですからなどもあります。現在の主流である、オフセット印刷との違いはどこ?と言われたら、印刷のインクがまず違います。化学反応で印刷されるものと、直接版を押しつける活版印刷では、黒の濃度や、くっきりと印刷されるところなど、違います。(この凹みができたりするのはその時々での状況や、版に凸版が混ざったりなど色々あるので、今回は一般的な理由を書いています。)

Dsc_0033 でも、凹みやかすれが欲しい時はありますよね。私も凹みがある方がいいときもあり、そういった作品も作っています。インクを載せず、空押しをすることもできます。そういうときは、柔らかい紙を探しましょう。探すとき、見本の紙にちょっと押してみて下さい(あくまで見本で)。もしそれで凹みがつかないようなら、活版印刷でもあまり凹みが出来ないですし、印刷にも負荷がかかってしまうので不向きな紙となります。後がつきやすいなら、凹みはできやすいです。ただそういう紙は当然他の取り扱いでも弱い部分があるので、注意してください。

かすれは、いかにもインクのノリの悪い紙であればいいという考えもあります。表面にテクスチャーがあったりすれば、カスレも出てきます。ただし、偶然にできるカスレを楽しむことになると思います。サンプルを持って印刷屋さんに相談しましょう。(上の写真のコースターはフワっとした柔らかい和紙なので、圧が弱くても凹みができます。また、栞は色々な紙を試し、やや堅めの紙から柔らかい物 まで、凹みがあったりなかったりです。ストライプのテクスチャの入った「NTストライプ(クリーム)」と「STカバー(真紅)」は前者はやや固くカスレも 出てますが凹みは殆どなし、後者は紙も薄く色のりも良いので、しっかりと印刷されていますが、薄い紙なので、凹みは少ないです)

そしてダメそうなのを無理にお願いしないこと。最初にも書いたように全てがダメなのではなく、こちらも理解した上で職人さんと話し合い、歩み寄って良いものが出来ていければと思います。今や大型機械などは、壊れたら部品がないという機械が殆どなので、負荷をかけすぎれば寿命が短くなる。皆で大切にしていきたいですね。

私が以前見た中での究極に美しい印刷は、今田さんがお仕事で刷られていた物(個人物なので公開はできませんが)。A5ほどの大きさのカードで、手きんで刷られたというのにムラひとつなく、そして厚紙なのに凹みもない。あそこまで行くのには何年かかるだろう。と道のりは長いな、と感じてしまいます。

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